この夏、多くを考えさせられる1冊の本と出会いました。
小説の主人公、茂里人は、交通事故で家族を亡くした過去を持つサラリーマン。
ある日、彼がタイムスリップした未来は、現在を逆もどりしたかのような世界でした。
そこでは、血のつながりのない人々がコモンズ(共同体)を形成し、衣食住をコミュニティで賄い助け合って暮らしているのです。
古くから、山林や草原地等を地域共同で守り、収益は地域で使う仕組みは存在していました。私自身、幼少の頃に氏神神社を総出で大掃除、柿の収穫も稲刈りも部落でやっていた記憶があります。野菜は、玄関に誰かが置いていたものでした。相互扶助が自然だった。
それが半世紀前です。
さて、物語の中の長老が語ります。
2050年、地球温暖化は進み海面上昇による沈没。人々は住まいを追われ、また疫病や飢餓で人類は半減してしまいます。やがて、生き残った人々が作り出していったのがコモンハウスなのです。
いま、私たちは地縁のない都市型生活を送っています。
そこには、もはや「おせっかい」はなく、介護保険をはじめとする様々な支援につながりにくいと感じています。そして、温暖化による災害が多発する中で、老後の不安は増すばかりです。
免許返納した後でも住み慣れた地域で暮らしていくために、本の中にある再生の地を心に刻んでおきたいと思います。